ホームベーカリーで焼いたパンの耳を柔らかくするには?(2)

「ホームベーカリーで焼いたパンの耳を柔らかくするには?」という記事を書いてから2年近く経ってしまいました。その間,途切れることなく週3回はパンを焼いています。実は前のエントリーを書いたのはほとんど忘れていたのですが,現在はこういう状況となっています。

  • 「焼けたら(あるいは焼き終る前に)釜から出す」
    • →焼き終る前に出すのは数回やりましたが,朝それをちゃんとやろうと思うと大変です。今は,「なるべく長時間放置しないように気を付ける」程度になっています。
  • 「ソフトコース,焼き色薄めで」
    • →ソフトコースはバターなどを多めに使うのでやっていません。「焼き色薄め」はやっていますが,劇的に変わっている感じはしません。
  • 「焼きあがったら(粗熱が取れたら?)袋に入れる」
    • →これはやっていません。タイマー設定で,朝焼きあがるようにして,ちょっと置いたらすぐ食べているからです。
  • 「薄力粉を入れてみる」
    • →こういう記述を見つけていたことはすっかり忘れていて,こういうことは最近までやっていませんでした。しかし現在はこれをやっています(小麦粉の半量は薄力粉にしている)。そしてこれが一番効果があるように感じています。

 最後の「薄力粉を入れると耳が柔らかくなる」件ですが,偶然このことを(再?)発見し,毎回行っています。
 どうやって発見したかというと,あるとき,ボーっとして粉を入れていたら,間違って薄力粉を入れていることに,入れながら気づいたんですね。その時点ではもう150gぐらい入れてしまっていました。あちゃー,どうしよう? このままじゃ膨らまないだろうから,これは捨ててもういっぺん作るかな?とも思いましたが,まあ膨らまなかったなら膨らまなかったでそれを食べればいいやと思って,残り半分弱は強力粉を入れました。そして全く期待せずに翌朝見てみると,ちゃんと膨らんでいるではありませんか。しかも驚いたことに,耳が柔らかく,というか軽い食感になっていたのです。試しにレシピを検索してみると,半分ぐらい薄力粉を入れるレシピもけっこう見つかりました。
 ということでそれ以降,安心して薄力粉を入れています。膨らみ方や味はちょっと気になるので,一時期,薄力粉の割合を1:9,2:8……といろいろ試してみました。いろいろやっても味や本体部分の食感に大差はなく,耳の軽さは薄力粉が多い方がいい感じなので,今は1:1の割合でやっています。

 それにしても,失敗から発見があったという意味で面白い経験でした。

グラウンデッド・セオリー・アプローチ

質的研究法は,やりたいと思いながらもなかなか手を出せずにいます(卒論生にはその真似事のようなことを,あまり厳密性を重視せずにやらせていますが)。

しかし,どうもやらざるを得ない状況になってきたので,改めて,論文を探したり過去に購入した本に目を通したりしていました。そこで今回ネット上で見つけたのが,実践しながら学ぶグラウンデッド・セオリー・アプローチというページです。才木クレイグヒル滋子先生を中心に運営されているようです。

このページがとてもよかったのは,実際に寄せられた悩みに基づくQ&Aがあった点です。本を通して質的研究法を学んでも,そこに書かれていないこういうケースではどうしたらいいんだろう,と思うことがよくあります。それにこのページは見事にこたえています。

せっかくなので,自分用のメモも兼ねて,いくつかを抜粋しておきます。箇条書きの第一階層が質問の概要,第二階層が回答の抜粋,カッコ内がURLとなっています。

  • 自記式の調査票で得た自由記述をGTAで分析できるか?
    • →質問を深めることができない,理論的サンプリングができないという限界はありますが,これらを明記なさった上で使用なさることは可能だと思います.(
  • 複数の情報提供者に同時にインタビューするとき、データをどのように扱えば良いのでしょうか?
    • →Aさん,Bさんのどちらが話したかを考えずに分析してみるという方法とAさん,Bさんそれぞれが話したことを別々にテゴリーにまとめるという方法の2つの方法がとれると思います.……どちらの方法をとっても,2名の方の話を比較する,いわゆるデータ内の比較をおこない,プロパティとディメンションを増やすことができると思います.(
  • 分析において、概念名の妥当性などはどのようにして確認するのか
    • →私たちがお互いの分析結果をチェックする時には,同じ名前がつくかどうかの一致度よりも,データからプロパティとディメンションが無理なく抽出されているか,それを基にした概念名がつけられているのかを中心に確認します.まずは,自分の分析結果をこのようにチェックしてみることが,概念名の妥当性を確認する方法になると思います.(
  • どう説明すれば、質的な研究をしていない人たちにも、「インタビュー」の結果に信頼性・妥当性があるのです、といえるのでしょうか・・・
    • →インタビューの信頼性・妥当性を問題とするよりも,それによってリッチなデータが収集できたかどうかを指標にインタビューを評価します(
  • ラベルやカテゴリー名を付けるときの留意点(という質問ではなかったが...)
    • →既存の概念を使って分けてしまってはデータに基づいた分析ではなくなってしまいますし,その概念定義に縛られてしまうと,そこから新しい知見を見つけることは困難になります.そのため,私たちの勉強しているGTAでは,ラベルやカテゴリー名に既存の概念名を使用することを出来るだけ避けるようにしています.(
  • 分析はすべて行うということでしたが、プロパティとディメンション、ラベル名までつけて、カテゴリー分けの際は使用しないこともありますか?もしくは、最初から対象にしない切片もありますか?
    • →分析はすべておこなうことが基本です.研究テーマを決めて研究計画書を書き,インタビューなどの調査をおこないますが,研究計画の段階でのテーマは,あくまで暫定的なものにすぎません.グラウンデッド・セオリー・アプローチでは,テーマは「設定」するものではなく,データに基づいて抽出するものです.ですから,最初から,今回の研究テーマと直接関係がないからという理由で,分析をしないというのは避けた方がよいと思います.自分が「今回の研究テーマと関係ない」と思っているだけで,もしかしたらとても重要な何かが分析をしなかった部分に潜んでいるかもしれませんよ.

こういったことを書籍にすべて盛り込むことはできないでしょうが,こういう風に分析対象の「幅」が示されたり,分析の勘所(落とし穴を避ける方法)が書かれていたりすると,分析方法の理解が進む気がします。そういう意味でとてもありがたいページでした。

ホームベーカリーで焼いたパンの耳を柔らかくするには?

ホームベーカリーを買いました。私の希望で買ったので,焼くのは毎日私がやっているのですが(今日で3日目),ホームベーカリーって,いろいろと工夫が可能(というか必要)なものであることが分かってきました。それは,イーストという「ナマモノ」を使うことやら,機械そのものが開発されてからまだ25年程度しか経っていない,からなのかなと思っています。
ということで,それについて調べたことなどをメモ書きしておこうというのが,久々に記事を書いた理由です。

なおこのブログの主目的は「考えること」についての記録なわけですが,ここ数回はお菓子作りの話に終始しています。しかしパン作りに関しては,上にも書いたように工夫が必要だということに加えて,毎日いろいろな人がいろいろな工夫や試行錯誤をしてその結果を検証し,そのような経験から得た知識をWeb上に書かれているわけで,それは「どうしたらよりよいパンができるか」という情報が蓄積されているという点で,今回はかなり思考と関わるテーマ(実践編?)だなあと思っています。

今回のテーマ*1は,タイトルに書いた通り,「ホームベーカリーで焼いたパンの耳を柔らかくするには?」です。ホームベーカリーで焼いたパンはおいしいのですが,耳が結構かたくて顎が疲れます。ということで,とりあえず「ホームベーカリー 耳が固い」で検索してみました。以下,ナルホドと思ったものを抜き出しておきます。

発言小町:ホームベーカリーで焼いたパン

  • 焼けてからもしばらく気付かず放置…って事があってそのときは、パンの耳がすごく硬くなりました
  • 食パンコースではなく,ソフト食パンコースの方がしっとりしたパンになりますね。(材料的にややバターが増量になってるので,バター多めも良いのかも)
  • 出来上がりブザーの鳴る5〜10分前に強制的に電源を切って取り出します。蓋を開けてみて、上部分がこんがり焼けている色をしていれば、大抵大丈夫です。今までのモヤモヤが嘘のように、外はカリッと、中はしっとり焼けます。
  • 焼き上がって冷めるまでポリ袋に入れて口を縛っておき冷めてからカットして食べます。焼きたて熱々ではないですが一番耳まで美味しくいただけます。
  • カメリアで250gだったらそんなに固くならないと思うけれで薄力粉を30gくらい足してみたらいかがでしょうか? 強力粉だけよりはソフトな仕上がりになると思いますが・・
  • 夏場はホームベーカリー内の温度が上がりすぎて、膨らまなかったりして固いパンが焼けるので、一体なぜなんだ?と試行錯誤していたところ温度だとわかり、水をキンキンに冷やし、タイマーは使わず焼くようにしたら今まで通りフワフワに焼けるようになった経験があります。

YAHOO知恵袋:ホームベーカリーでおいしい食パンを作るには?

  • あら熱をしっかりとって密封し4〜5時間程置いてください。その頃が一番パンはおいしいそうです。あとパナソニックなら焼き上がり5分前に取り出すのもおすすめですよ。耳がだいぶ柔らかくし上がります。
  • 耳が硬いのが気になるのであれば焼き色を「淡い」にして「ソフト」でかなり変わります 私も↑は絶対指定しています。多少パンのふくらみも良くなります。

教えて!goo >ホームべーカリーで食パンを焼くと固くなります。

  • 焼き上がった時はどのパンも耳が硬いのが普通です。前の方がおっしゃるように 1,あら熱を取る(網等のの上に載せて冷ます) 冷めたら2,ポリ袋に入れ密封しておく パン中心部の湿り気が徐々に耳の方へ出て耳が柔らかくなる。焼き上がったすぐにはパンの耳は硬い物です。パン屋さんも同じ事をやっております。
  • 一番お気に入りの食パンレシピです。「しっとり絹どけ ライス食パン」http://cookpad.com/recipe/461122
  • 1番の原因は、焼き上がり時の水分不足なので、練る時の水分を増やすか、少しショートニングを足して保湿するかが良いと思います。機械には1台1台の個性(性能の差)があります。たとえPanasonic製でも有ります。なので、小麦粉を練る時に、加える水分量や脂肪分を5%ずつ分量を増やして、何度も試し焼きをしてください。必ず、機械の個性に合った分量が見つかりますから。

出来そうなことをピックアップするなら,「焼けたら(あるいは焼き終る前に)釜から出す」「ソフトコース,焼き色薄めで」「焼きあがったら(粗熱が取れたら?)袋に入れる」「薄力粉を入れてみる」あたりだろうか。それにしても,機械の個性まで考えないといけないなんて,奥が深いというか大変そうというか...

*1:今後続くかどうかはさておき(^^ゞ

ティラミスを作った


上の娘の誕生日だったので(3日前だけど),ティラミスを作ってみた。
ティラミスを作るのは初めてだし,うまくできていると言えるのかどうかよくわからないのだが,家族には好評だったので,まあよしとしよう。

『由布院の小さな奇跡』

KINDLE本を買いました。由布院はかつて(昭和30年ごろ),平日の旅館には宿泊客がほとんどいないようなところだったそうです。そのような土地がどのようにして変化したのか,について書かれた本です。

由布院の小さな奇跡 (新潮新書)

由布院の小さな奇跡 (新潮新書)

もっとも,なぜうまくいったのか,必ずしも明確ではなく,「「観光客がどうして由布院へ来るようになったか」については、由布院の人たちにもその理由がわからない」とか「由布院の「小さな奇跡」の積み上げが「大きな奇跡」を生んだ」とあります。

でも少なくとも言えるのは,由布院の街づくりを引っ張ってきた代表的な人がいたこと,その彼らが昭和40年代にヨーロッパに視察に行き,由布院が目指すべき将来像を見つけてきたこと,批判されながらも彼らも実践をすることで仲間たちを引っ張ってきたこと,などが語られています。

直接どこがどのように,ということは難しいですが,この本は,組織改革のヒントになりそうな部分があるかも,と思いました。

『試練が人を磨く』

KINDLEで買って読んだ本です。桑田氏が(現役時代に多くの人が持っていたであろう)ネガティブなイメージと違い,非常にまじめで,かつ前向きな人だということが良くわかりました。

試練が人を磨く 桑田真澄という生き方 (扶桑社文庫 く 8-1)

試練が人を磨く 桑田真澄という生き方 (扶桑社文庫 く 8-1)

それはあたかも,『「やればできる!」の研究』にある「しなやかマインドセット」のお手本のような考え方だという気がしました。たとえば次の記述がありました。

生きる目的は、自分を磨くことだと僕は思う。
 だから試練や困難は、僕に与えられた砥石なのだ。〔中略〕
 僕は悪い年、結果に恵まれなかった年だって、前向きに努力して、自分を磨くことができればそれで満足だ。〔中略〕
 成績が悪くて、マスコミにもVを逸した最大の責任者、A級戦犯だなんて書かれて叩かれたのに、僕自身は「自分はよくやったな」と思っていた。これは自分を甘やかしているのではなくて、本当に努力した自分を知っているからだ。〔中略〕
 どんなときにも、いかに自分が努力したかで、評価したいと思う。

自分を(結果ではなく)努力で評価する,見習いたいなと思います。試練が与えられたものだと考えると,どんな出来事も,意味があることなのだ,必要なことなのだと観がることにつながります。そのことを彼は「パーフェクト*1なタイミング」と言っています。

《目の前のことがパーフェクト》なのだ。そう思ってやっていれば、パーフェクトなタイミングで物事は開けていく。〔中略〕だからこの本がたとえ一冊も売れなくても、たくさん売れたにしても、僕にとってはいま本を書けるというのが一番いいことなのだ。

本が売れるかどうかという「結果」ではなく,本を書く機会を与えられたのだから,それに向けて最大の努力をしていくことが大事だということでしょう。似たような表現としては,「もらった道が、自分の最高の道だと信じて、進むことだけ」というものもありました。実にすばらしい。

かつて,日本シリーズで西武と対決したとき,彼は同級生だった清原にホームランを打たれてしまったそうです。そのことについて,次のように言っています。

負け惜しみじゃなくて、打たれて良かったと思う。これで僕は、うぬぼれなくてすむのだ。「今度やるときには,清原を抑える」と,また清原君の1発を思い出して、自分を磨く。これが、何にも替えがたい素晴らしいものなのだ。

ということで,しなやかマインドセット(拡張的能力観)の実例を見せてもらったような一冊でした。

*1:ひょっとしたらPLの「パーフェクト」かもしれません。しかし彼はそれだけでなく,キリスト教も仏教も,信条というか哲学という意味で好きだ,という趣旨のことを述べています