問いのある教育

紀要論文を書きました。内容は以下の通りです。

本稿では,問いのある教育がどのようにありうるのかについて,いくつかの教育実践や実践研究を取り上げ,主に思考力育成という観点から考察した。質問書方式の実践では,大学生の8割以上が疑問を持ち考えるようになったことが示されている。質問の質を高める方法としては,質問語幹リスト法が挙げられ,これを用いた実践研究が検討された。また,わからないときだけでなくわかったつもりでいるときに質問を出すことの必要性も論じられた。最後に,小学校における質問力育成教育をいくつか概観し,質問力を育成するための示唆を得た。最後にこれらをいくつかの観点から整理し,今後の課題を検討した

本稿で取り上げてきた実践はどれも,教師からの魅力的な発問や教材に誘発されて考え始める(問いを出す)タイプの実践ではなく,問いを出すことを教師に強いられ,その結果,常に問いを出す姿勢をもって授業や教材に対峙し,そこから問いを生み出すスタイルの実践でした。

この前者と後者の対比を本稿では,「pull」タイプの実践(授業者が問いを「引き出す」)と「push」タイプの実践(授業者が学習者に問うことを「強いる」ように背中から推す),と表現しました。これはなかなか悪くない表現ではないかと自分では思っています。

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