長谷川滋利投手(元メジャーリーガー)

 新しいタグを作ってみました。[CTer]は,批判的思考者(critical thinker)の略です。世の中には,「ああこの人は批判的思考者だなあ」と思う人がいます。そういう人を紹介してみようというタグです。さしずめ「批判的思考者列伝」という感じでしょうか。

 最近私が読んだ本でいうと,元メジャーリーガーの長谷川滋利投手がそうでした。彼は,「続けて3回続けて失敗しないことがプロとして大切」,と述べています。その一方で,「失敗はするべきもの」とも考えています。つまり,失敗をし,それを乗り越えることが大事だということです。

 では彼は失敗をどのように乗り越えてきたのでしょうか。試合の翌日,冷静に自分の問題点と向き合い,問題に関する仮説をつくり,その仮説をVTRで確認し,さらにピッチングコーチと仮説の適切さや,解決法について徹底的に話し合い,練習のなかで「実験」することにより,その解決法を試すのだといいます。

 要するに,科学者がやるような「仮説−検証」をきちんと,丁寧に行っているのです*1。おそらくこういうことは,プロの選手であれば誰でも多かれ少なかれやっていることなのでしょう。しかし長谷川投手の場合は,それをかなり意識的に,自分をうまくコントロールしながら行っていますし,ピッチングコーチという他者の眼を入れることで独善的にならないようにしています。こういう点が,クリティカルシンカーだなあと私は感じました。

 なお,その他のスポーツ選手として,本ブログでは,為末大氏を取り上げています(スポーツと思考スポーツ選手の批判的思考)。彼の場合は,一般的によいとされる走り方に対して批判的に考え,自分,あるいは日本人にあった走り方を工夫しているという意味での批判的思考者ですね。

#この続きのような話をこちらに書きました。

*1:科学やスポーツ以外の分野で仮説検証を丁寧に行っている例としては,流通業セブン−イレブンジャパンの鈴木敏文氏を私は思い出します