教師が飛躍するとき(4)−うまくいかないときの対処法

前回に引き続き、『教師が飛躍するとき』という本を読んでいます(今日で最後です)。

平林和枝先生の「研鑽を積み重ねて」という論考では,「教師が力を入れるほど,子どもがしらけたり教師と違う方向に行く」場合の対処法が書かれていました。それは次のようなものです。

そんなとき,どこかできっぱりと悪循環をたち切らなければなりません。悪いことのくり返しになったら,私は一度,立ち止まって見ることにしています。そして,次の二点を点検します。
(1)子どもへの要求が高すぎないか
(2)子どもへの要求が多すぎないか
自分の過去の経験にとらわれ,今までと比べてここまでできるはずだと決めつけてしまっていないだろうか。急に,あまりにも高いものを求めるのではなく,目の前のこの子たちの実態,現在の状態をしっかり把握し直して,少しずつ目標を高めてやることが大切です。
〔中略〕
そういうときに限って,あれもだめ,これもだめと,できないことばかりが目についてしまいます。思い切って,
「今週は給食指導のみ,あとは目をつぶる」
と,一つのことに絞るようにします。すると不思議なもので,あせりも少しひっこむし,一つできるようになると,それが他にも影響して良くなってくるのです。(p.210)

言っていることは,実態をきちんと把握する必要性であり,スモールステップでアプローチしていくことの大切さで,ある意味当たり前のことかもしれません。しかし,こういったことは,わかっていてもなかなか難しいことだと思いますので,記事として取り上げました。

思考の観点から見ると,立ち止まる(振り返る)ことの重要性,決めつけることの問題,目先の問題群にとらわれることなく,大局的に,着実に問題を一つずつ解決していくことの重要性,などがここから見てとれるかと思います。