『最強のクリティカルシンキング・マップ』が出ました
一般向けのクリティカル・シンキング本を出しました。こちらです。
最強のクリティカルシンキング・マップ―あなたに合った考え方を見つけよう
- 作者: 道田泰司
- 出版社/メーカー: 日本経済新聞出版社
- 発売日: 2012/05/23
- メディア: 単行本(ソフトカバー)
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出版社による説明は,以下の通りです。
クリティカルシンキングの様々な技法の「見取り図」と使い方、本質が同時にわかる画期的入門書。思い込みや直感に惑わされず、ビジネスや日常のあらゆる出来事を客観的・分析的に理解する奥深いスキルが身につく。
クリティカルシンキング本というと,ビジネス系,論理学系,心理学系,哲学系とさまざまなものがあり,中身はかなり異なります。特にビジネス系クリシンは日本独特のもののようですし,使われているツールや考え方も,他のクリシンとはかなり異なるように見えます(その点については,本ブログでも,ビジネス系におけるロジカルとは?からはじまる[ビジネス系]エントリーで論じています(というよりは,本書を書くための思索の場として本ブログを使ったわけですが。ちなみに本ブログの内容をそのまま載せているものはほとんどなく,ここでの思索結果を踏まえてはいるものの,内容はほぼ一から書いています)。
それを整理したうえで,クリシンの中核(本質)を明らかにし,それを踏まえて,クリシンぽいけどクリシンと呼ばれていないもの(読解や作文,問題解決や意思決定*1,心理療法,ファシリテーション)までをも,その中核との関連で理解できるようにと思って作りました。
実は『クリティカルシンキングの学び方』というタイトルにしたかったのですが,出版社の「より魅力的なタイトルを」という要請で,こうなりました。私としてはちょっと気恥ずかしいネーミングではありますが,私が目指したものをざっくりと一言で言うなら,まあこういう表現もアリかな,と思っています。
本書の目次を下に記しました(項レベルでの目次は出版社のサイトやアマゾンには挙がっていないようですが,これを見ると内容がもう少し見えるでしょうから,ぜひご参照ください)*2。私としてはこのような道筋でクリティカルシンキングを学び,深めていってもらうといいのではないかなと考えて作っています。
まえがき
第1章 クリティカルシンカー列伝
クリティカルシンキングとは?――合理的で反省的な思考
1 合理的思考者としてのクリティカルシンカー
(1)元メジャーリーガー・長谷川滋利氏の場合
(2)経営者・鈴木敏文氏の場合
(3)大本営参謀・堀栄三氏の場合
2 反省的思考者としてのクリティカルシンカー
(1)経営者カルロス・ゴーン氏の場合
(2)メジャーリーガー・鈴木一朗氏の場合
(3)旭山動物園の場合
3 それだけではない、クリティカルシンキング
(1)小学校教師・今泉博氏の場合
(2)批判を通して無批判になる第2章 いろいろなクリティカルシンキング
1 クリティカルシンキングの見取り図
1.ビジネス系クリシン
2.論理学系クリシン
3.心理学系クリシン
4.哲学系クリシン
5.教育系クリシン
6.専門系クリシン
2 ビジネス系クリシン…その中核としてのビジネス系ロジカルシンキング
(1)ロジックツリー
(2)その他のビジネス系ロジカルシンキングのツール(MECE、フレームワーク)
3 論理学系クリシン
(1)議論の理解
(2)議論の評価
(3)暗黙の前提
4 心理学系クリシン
(1)「人の誤りやすさ」についての知識
(2)「誤りやすさ」には意味がある
(3)人間の情報処理システムの特質を理解したうえでクリシンする
(4)心理学研究法についての知識第3章 クリティカルシンキングの中核とは
1 各クリシンの中核にあるもの
2 哲学系クリシン
(1)根っこから考える
(2)考え続ける姿勢
(3)強い意味のクリティカルシンキング
3 クリティカルシンキングの中核にあるもの
(1)まとめると……
(2)考えるとは?
(3)クリティカルシンキングとは?
(4)6色ハット思考法から見るクリシン第4章 具体的状況におけるクリティカルシンキング
1 「何を信じるか」についてのクリシン
(1)批判的読解
(2)よりよく分かるための読解
(3)6色ハット思考法からみてみると……
2 「何を行うか」についてのクリシン
(1)批判的作文
(2)問題解決
(3)合理的な意思決定
(4)プロセスとしての意思決定
(4)6色ハット思考法からみてみると……
3 問いとしてのクリシン
(1)クリティカルシンキングの方法論としての問い
(2)クリティカルシンキングの出発点としての問い
(3)クリティカルシンキングを「持続させる」ものとしての問い第5章 クリティカルシンキングを広げる
1 心理臨床に学ぶ
(1)カウンセリング・マインドに学ぶ
(2)アサーションに学ぶ
(3)認知療法に学ぶ
(4)精神科医神田橋氏に学ぶ
2 事例に学ぶ
(1)ノンフィクションに学ぶ
(2)失敗学的な事例に学ぶ
3 ファシリテーションに学ぶ
(1)会議ファシリテーションに学ぶ
(2)ファシリテーションの4ステップに学ぶ
4 オープンマインドとしてのクリティカルシンキング第6章 学びを深める
1 日常とクリティカルシンキング
(1)クリティカルシンキングが難しいわけ(1)―「枠組み」の存在
(2)クリティカルシンキングが難しいわけ(2)―日常の思考は連想的
(3)クリティカルシンキングは誰でもできる・やっている
(4)クリティカルシンキングが必要なとき
2 枠組みとクリティカルシンキング
(1)「開かれた心」とクリティカルシンキング
(2)「常識を疑う」
3 学びを深めるために
(1)マイ・クリシン・カタログをつくる
(2)論争を分析する
4 既存のクリシンを超える
(1)既存のツールを超える(1)―拡散と収束を促す
(2)既存のツールを超える(2)―モノ・他者・知識で思考を刺激する
(3)クリシンの外にあるもの
(4)反省しすぎない、考えすぎない
5 クリティカルシンキングとは?
(1)結局クリティカルシンキングとは?
(2)対話的思考としてのクリティカルシンキング
6 終わりにあとがき
*1:意思決定について(1)から始まるエントリーで思索しています
*2:手持ちのワードのファイルから作りましたので,最終原稿と対応していない部分がひょっとしたらあるかもしれません