21世紀型スキルってなに?

21世紀型スキルという語があるようです。その中には批判的思考(クリティカルシンキング)も含まれているようです。
私はこのことについてほとんど知らないので,これが何で,どこからどのような経緯で出されてきた概念なのかについて,とりあえず,Googleでの検索結果上位サイトを見てみました。

最初に出てきたのは,「21世紀型スキル」とは何か? - マイナビニュース - 株式会社マイナビインテル社教育プログラム担当者へのインタビュー記事)[2010/04/30]でした。つぎのような記述がありました(私なりに関連個所を抜き出し,番号を振っています)。

  1. この10年の間に起きた、パソコンや携帯電話、インターネットなどにおける技術革新の流れは、社会や経済に大きな影響を与え変化をもたらしてきた。〔中略〕そこでインテルは、今後必要とされる「21世紀型スキル」を掲げ、このスキル育成を推進する各国の教育関係機関の支援に取り組んでいる。
  2. インテルは、世界中の教育担当の省庁に対して、このようなスキルを身に付けるための活動支援を、さまざまな方法で行っています。
  3. 21世紀型スキル:批判的思考力(批評精神を持って考える力)と問題解決能力/コミュニケーションとコラボレーションの能力/自立的に学習する力/ICT(情報通信テクノロジー)を確実に扱うことのできる能力・スキル/グローバルな認識と社会市民としての意識/金融・経済に対する教養/数学、科学、工学、言語や芸術といった分野への理解を深めること/創造性
  4. シスコ、マイクロソフトインテルの3社では、21世紀型スキルを評価するための大規模なシステム開発や、世界共通の教育評価基準の策定のためのプロジェクト「ACT21s (Assessment & Teaching of 21st Century Skills)」を共同で進めています。

1と2を見ると,インテルが提唱するか主導している概念のようです。4を見ると他者も関わっているようですが,いずれにしても企業が主導しているようです。3を見ると,8つのものが挙げられていますが,純粋なスキルだけでなく,「意識」や「教養」も挙がっています。

次はICT活用で教育の改革を――21世紀型スキルフォーラム開催というニュース記事(2012/05/23)です。

  1. 21世紀型スキルとは、世界の教育科学者や国際教育機関によって考案された、21世紀の国際社会で必要な能力。
  2. 批判的思考力、問題解決能力、コミュニケーション能力、コラボレーション能力、ICT活用能力など、これからの子どもたちが身に付けるべき能力を規定している。

先の記事とはニュアンスが違い,「世界の教育科学者や国際教育機関によって考案された」となっています。こうなると,出てきた経緯がもう少し詳しく知りたくなります(なおこのフォーラムには,マイクロソフトが絡んでいるようです)。

3番目は今は存在しない職業への準備――「21世紀型スキル」という記事です(2012年5月9日)。

  1. 現在、さまざまな団体が21世紀型スキルについて検討し活動しているが、ここではATC21S(The Assessment and Teaching of 21st-Century Skills)の定義を紹介したい。
  2. この団体は21世紀型スキルの普及と教育改革のために作られた国際組織であり、米国やオーストラリアなど6カ国の政府と大学・産業界が協力して活動している。
  3. ATC21Sが考える21世紀型スキル: 思考の方法――創造性、批判的思考、問題解決、意志決定と学習, 仕事の方法――コミュニケーションと協働, 仕事の道具――情報通信技術(ICT)と情報リテラシー, 世界で暮らすための技能――市民性、生活と職業、個人的および社会的責任

1には,「現在、さまざまな団体が21世紀型スキルについて検討し活動している」とあります。なるほど,検討も活動もいろいろあるんですね。2のATC21Sの説明は,最初のインテルのものと違いますね。また3のスキルの内訳も,違う感じです。

ちょっと混迷してきたので,もう一つだけにしておきましょう。最後は「21世紀型スキル」とは何かという記事です(【2010年5月8日号】 )。

  1. 2010年1月にロンドンで開かれた「学習とテクノロジー世界フォーラム」で、ATC21Sのプロジェクト(21世紀型スキル効果測定プロジェクト=Assessment and Teaching of 21St Century Skills)のプロジェクトリーダーであるバリー・マクゴウ教授(メルボルン大学)から報告がありました。このプロジェクトは、昨年(2009年)の同フォーラムでキックオフのアナウンスがありましたが、わずか1年で、302ページにもおよぶドキュメントが作成されていました。
  2. 21世紀型スキルが最初に検討されたのは2003年で、米国教育省援助で第3セクター方式の「21世紀型スキルのためのパートナーシップ」という組織が検討した考え方が基礎になっています。
  3. ATC21Sで検討されている21世紀型スキルは、OECDのPISAに大きな影響を与えていますが、組織の人的関係があるようです。例えば、ATC21Sのプロジェクトリーダーのバリー・マクゴウ教授は、OECD教育局長を勤められた方で、その前は、オーストラリア教育研究所長をされていました。

なるほど,最初のインテルのものなど,2010年のWebページがみられるわけですね。2で,もう少し古い経緯も少し分かりました。3で,似たような考え方であるPISAとの関係も少し見えるようです。

まだ企業の立ち位置とか分からないことも多いのですが,冒頭の問いである「これが何で,どこからどのような経緯で出されてきた概念なのか」が少し見えた感じなので,とりあえずはこれぐらいにしておきましょう。余力があれば続きは後日ということで。