松下幸之助『物の見方・考え方』

 KINDLEで,この本を買ってみました。
物の見方 考え方 (PHP文庫 マ 5-3)
この本にしたのは,松下氏の本を読んだことがなかったこと,値段が安かったこと,タイトルやカスタマーレビューに興味をひかれたからです。読んでいるときの感想は,筆者の自伝的な部分は興味深いものの,内容は,まあそれなりだなというものでした。

しかし先日読んだ『「やればできる!」の研究』を念頭に置いて全体を眺めなおしてみると,しなやかマインドセット的な記述が見受けられ,興味深いところがあるなと思いました。たとえば文庫版前書きには,「困難にぶつかって一時的に悩んでも,すぐに見方や考え方を変え,災い転じて福となしてきた」という記述があります。

「失敗」に関しては,筆者は次のように書いています。

 体験というものは,何か事が起こらなくてはできないのかというと,そうではない。
 日々にやることが一つ一つ失敗の体験であり,また成功の体験であるということを認識することである。また失敗の体験は成功の過程にもあり,失敗の過程にも成功があるのである。今日一日をふりかえり,失敗や成功を見出し,その味をかみしめる。これが体験である。反省することなしにポカンと暮らしてしまえば,これは体験にはならない。

このほかにも,「おもしろいことに,その失敗が成功に転化している場合が非常に多い」などという記述もあり,筆者が偶然やら失敗やらをしなやかなマインドセットでとらえ,反省をしながら活かしてきたことがわかります。言葉にすれば当たり前のことのようにも見えますが,ドゥエックの著作をしると,こういう当たり前のように見えることがとても大事であることがわかります。そういう意味で,読み返すことでその興味深さが見えてきた本でした。

#それにしても,Kindle本を読書記録に書くのは,なかなか勝手が違ってやりにくいですね。パラパラと読み返したくてもそういかないし,引用するのも,せっかくデジタルデータがあるのに,コピーするわけにいかないのがもどかしい感じです。