『試練が人を磨く』

KINDLEで買って読んだ本です。桑田氏が(現役時代に多くの人が持っていたであろう)ネガティブなイメージと違い,非常にまじめで,かつ前向きな人だということが良くわかりました。

試練が人を磨く 桑田真澄という生き方 (扶桑社文庫 く 8-1)

試練が人を磨く 桑田真澄という生き方 (扶桑社文庫 く 8-1)

それはあたかも,『「やればできる!」の研究』にある「しなやかマインドセット」のお手本のような考え方だという気がしました。たとえば次の記述がありました。

生きる目的は、自分を磨くことだと僕は思う。
 だから試練や困難は、僕に与えられた砥石なのだ。〔中略〕
 僕は悪い年、結果に恵まれなかった年だって、前向きに努力して、自分を磨くことができればそれで満足だ。〔中略〕
 成績が悪くて、マスコミにもVを逸した最大の責任者、A級戦犯だなんて書かれて叩かれたのに、僕自身は「自分はよくやったな」と思っていた。これは自分を甘やかしているのではなくて、本当に努力した自分を知っているからだ。〔中略〕
 どんなときにも、いかに自分が努力したかで、評価したいと思う。

自分を(結果ではなく)努力で評価する,見習いたいなと思います。試練が与えられたものだと考えると,どんな出来事も,意味があることなのだ,必要なことなのだと観がることにつながります。そのことを彼は「パーフェクト*1なタイミング」と言っています。

《目の前のことがパーフェクト》なのだ。そう思ってやっていれば、パーフェクトなタイミングで物事は開けていく。〔中略〕だからこの本がたとえ一冊も売れなくても、たくさん売れたにしても、僕にとってはいま本を書けるというのが一番いいことなのだ。

本が売れるかどうかという「結果」ではなく,本を書く機会を与えられたのだから,それに向けて最大の努力をしていくことが大事だということでしょう。似たような表現としては,「もらった道が、自分の最高の道だと信じて、進むことだけ」というものもありました。実にすばらしい。

かつて,日本シリーズで西武と対決したとき,彼は同級生だった清原にホームランを打たれてしまったそうです。そのことについて,次のように言っています。

負け惜しみじゃなくて、打たれて良かったと思う。これで僕は、うぬぼれなくてすむのだ。「今度やるときには,清原を抑える」と,また清原君の1発を思い出して、自分を磨く。これが、何にも替えがたい素晴らしいものなのだ。

ということで,しなやかマインドセット(拡張的能力観)の実例を見せてもらったような一冊でした。

*1:ひょっとしたらPLの「パーフェクト」かもしれません。しかし彼はそれだけでなく,キリスト教も仏教も,信条というか哲学という意味で好きだ,という趣旨のことを述べています