技能と態度の育成

大学院在学中の現職の先生からのご質問,3つめで(とりあえず)最後です。

先生の論じられている態度とは前提にあるということですか? それとも、技能を身につけながら態度も育てていくととらえていいのですか? 技能があるから、そういう態度も身につくのでないかと考えてしまいます。ただしそういう態度がないと、技能を発揮しないともは思えます。

技能や態度をどのように育てていくかという教育の問題は,私が一番自信がないところですので,私の考えもそのつもりでお聞きください。

まず一般論として第一にいえることは,教育をどのような道筋で行うか,唯一の正解はないだろうということです。

批判的思考にしても,諸技能を何らかの形で教示し,それに習熟する中で,日常的にも批判的に考え,吟味しようとする態度が育つ,という道筋が考えられるかと思います。技能訓練(直接教示)アプローチとでも言えましょうか。

そうではなく(技能を直接教示しなくても),批判的に考えざるを得ないような,あるいは考えたくなるような場を設定し,そこで子どもたちが自分なりに試行錯誤したり,壁にぶちあたったりしながら,自分なりに考えたり,友だちどうしで学びあったり,ときには先生に助けてもらったりしながら,そういう場での考え方を自分なりに身につけていく,というやり方もあるかも知れません。場作り中心アプローチとでも言いましょうか。

ここでは2つしか挙げられませんでしたが,そこにはさまざまなバリエーションがありうるでしょう。一つヒントになるとしたら,批判的思考に限って考えなくても,各教科・領域で,技能と態度の育成ということはなされていると思います。たとえば説明文の適切な読みの技法を身につけることと,常日頃からそのような姿勢で読むということは,どのようにやられているでしょうか。そういった,先生方の日ごろの実践の中にこそ,大きなヒントがあるのではないかと思います。