共通テストで思考力測定?

朝日新聞デジタル|大学生に成長度テスト検討 「勉強しない」汚名返上へ

 日本の大学生は勉強しない――。そんな汚名を返上しようと、文部科学省は、現役学生向けの「共通テスト」を開発する検討に入った。入学後と卒業前に2度受験すれば、在学中の学習成果の伸びが客観的にわかるようにする。結果を分析してカリキュラムの改善に役立てたい考えだ。

 大学生の「能力測定」と位置づけ、年に1回、読解力、論理的思考力、批判的な思考力、文章表現力などを問うことを想定。大学の講義にどれくらい主体的に参加しているかといった学習態度のアンケートも課す。同じ学生が2度受ければ、成長度を「可視化」できると期待する。
(中略)
 文科省によると、米国インディアナ大学は、学生が教員や他の学生とどう関わり、しっかり学習しているかどうかなどを評価する調査方法を開発。この調査に米国とカナダの1千校以上が参加し、経年比較や大学間の比較に使っている。米国では、学士課程前半の一般教育の到達度として、文章表現力や数学的能力を問うテストもしている。同省はそれらの事例も参考にしたいという。
(中略)
 文科省の担当者は「個々の学生の能力を比べるためのものではない。共通のものさしで各大学が自らの『教育力』を把握し、改善につなげてほしい」と話している。

イメージとしては、大学版PISA型読解力ということでしょうか(そういえばOECDもそういうテストを検討していたのではなかったっけ)。「批判的な思考力」も挙げられていますね。

これは、「領域普遍的」な読解力や思考力を測定しようとしているのか、それとも、分野ごとにそのようなテストをつくろうということなのか。

もし前者なのであれば、

まあ、米国での実施例があるからやろう/できる、ということなのでしょうね。

もし後者(分野別に測定)なのであれば、大学の各学部が1〜2文字のみ(法とか文とか教育とか理とか工とか農)から、学際・学融的なものも含め、さまざまに分化している今日、小数の分野別共通テストでは対応は難しいのではないでしょうか。相当な数のものが必要になるでしょうが、ではたとえば100種類作ればそれですべてカバーできるかというと、その保証はないでしょうね。

それよりは、各大学学部(学科)が、自分たちで、大学生の成長を計れるようなテストを作ればいいのだと思います*1

そのテストには、その大学学部で目指しているものが如実に表れるでしょうから、もし「大学間の比較」をしたいのであれば、そのテストそのものを比較に使うことはできるでしょう(今これを書きながら思いましたが、どこかの機関がテストに使えるモジュールをいくつも作り、それを組み合わせて、あるいはそれに独自問題を加えて各大学学部で使うというのは一案かもしれませんね)。

なお、ネット上にはこれに対する記事がさっそくいくつも見つかりますが、たとえばこちらには、twitter上のさまざまな反応がまとめられています。

*1:また大学教員の負担が増えて大変、という問題はさておき