アメリカの高校〜大学で学ぶ批判的思考
ちょっと前の記事ですが,ニューズウィークのインタビュー記事で,「彼女が「白熱教室」で学んだこと」というのがありました。高校でアメリカに渡り,大学,大学院を出てグーグルで働いている日本人へのインタビューです。
このなかに,次のようなやり取りがあります(2ページ目です)。なおボーディングスクールとは「全寮制私立学校」のようです。
──ボーディングスクールや大学の教育を通じて、どんな力が身についた?
何といってもクリティカルシンキング、つまり物事を批判的に考える力だ。日本ではMBAで学ぶことと思われがちだが、これこそボーディングスクールやリベラルアーツカレッジの教育の根幹をなすもの。なぜこの方法なのか、それがベストなのかなど現状に対して根本的な質問を投げかけることを、あらゆる授業のあらゆる場面で求められる。すぐに答えが手に入らなくてもとことん考える習慣を鍛えられたおかげで、アメリカで生き延び、自分だけの選択をしながらステップアップしていく上で大いに役に立っている。
高校でも大学でそういうことが学べた,というのは興味深いことです。もっともこの続きでは,「多感な時期に他人と同じ部屋で寝食を共にすることで問題解決能力も養われる」とも述べていることから,この人自身が,どのような経験も「問題解決力の育成」とみなせるからそこから学べた,という可能性も少なからずあるように感じました(『人生に必要な知恵はすべて幼稚園の砂場で学んだ』みたいな感じで)。
この人は本を出しており,もう少し詳しい状況は,ひょっとしたらそれを読めばわかるかもしれません*1。
ちなみに,前回のエントリーはアメリカの反知性主義的な伝統のことを書きましたが,こちらは,それとは対極にあるアメリカの中等・高等教育の様子です*2。いずれもアメリカの一側面を紹介しているのでしょうが,両方が同時に語られているような本か何かがあるといいなあと思います。