知識の成り立ちを看破する

ある大学の院生さんとメールをやり取りする中で,「教科書に記載されている『知識』がどうやって知識となっていったか看破するというスタイルもある意味「批判的思考的に吟味する」ことにはならないでしょうか?」というような内容の質問というか意見をいただきました。

私はその通りだと思います。「教科書に記載されている『知識』がどうやって知識となっていったか看破する」スタイルを,私は最近,とても重要だと思っています。

たとえば心理学は基本的に実証科学のはずなのですが,それでもはやり,教科書の記述に明確な根拠が載せられているケースは,半分もないようです。そういうスタイルでは,「これはもともとこういうものだと決められているんだ」と無批判に内容を受け入れざるを得なくなります。そうならないよう,最近私は授業では,心理学的な概念を提示する場合は,必ず研究例を示すようにしています。まだまだ授業としてはうまくいったりいかなかったりなのですが。